数年前には考えられなかったことが、現在では現実のものとなりました。オランダ アムステルダム以外でニューヨーク州で大麻に特化した博物館が2023年4月に誕生したのです。
その名も「The House of Cannabis」、略して「THC NYC」
大麻文化の普及を目指す挑戦
このミュージアムは、その開館前から大きな注目を浴びていました。場所はSoHoに位置し、ニューヨーク・ファッション・ウィークのランウェイショーの舞台となり、ブランドの窓が通行人による無数の写真撮影の背景となりました。そして、4月の本格的な開館は、大麻文化が広く受け入れられるきっかけとなる重要なマイルストーンとなりました。
ニューヨーク州は既に2021年に嗜好用大麻を合法化しており、そして、この5階建ての体験型ミュージアムは、大麻を試したことがない人々や興味を持つ人々を含む主流の観客をターゲットにしています。そのため、通常とは異なる視覚的な体験を提供し、その非日常へと訪問者を引き込むことが求められました。
ブランディングの課題と成功
このチャレンジに挑むため、彼らは、文化的影響力を持つブランドを創造することに特化した国際的なスタジオネットワーク、Base Designに依頼しました。大麻は合法化されたものの、社会全体に対する認知や理解はまだ進んでいない状況です。そのため、新設される博物館がどのようなメッセージを発信するか、どの程度大麻を前面に押し出すか、などの観点から、両者の間のバランスを見極める必要がありました。
大麻についての知識がある人々と、まだ詳しく知らない人々をどちらも巻き込むためには、教育的な要素とエンターテイメントの要素を適切に組み合わせることが求められます。また、大麻に対する既存のスティグマ（偏見や先入観）を排除し、新たな視点で捉え直すことも大切です。このような観点から、博物館のブランディングやメッセージングにおいて「バランス」を保つことが重要とされました。
THC NYCの創設者たちは、「大麻体験を高め、そのスティグマを打破する」という大胆なビジョンを持ってBase Designに接触しました。Base Designの役割は、この野心を同等の大胆なブランド表現と品位へと昇華させ、経験者と初心者の双方を招待することでした。
All Photo by Base Design
Base Designは、ブランド戦略、命名、ビジュアルアイデンティティ、ウェブサイト、サイン、グッズなど、ブランド作りのほぼ全ての側面に触れ、その結果、THC NYCは大麻の変革的な可能性を微妙に示しながらも、重苦しい手法や陳腐な概念とイメージからは遠ざかる、独自で考え抜かれたアイデンティティを手に入れました。
大麻文化がますます広まる中で、THC NYCのような施設が、この新たな風潮を理解し、経験する場となることでしょう。それぞれが、大麻という一つの植物が持つ可能性について新たな視点を得ることが期待されます。
