石炭や石油は人類の進歩にとって重要な役割を果たしてきましたが、化石燃料の持続的な使用は、汚染、気候変動、資源戦争などの問題を引き起こし、人類の存続を脅かす可能性があります。
大豆やヤシ、産業用麻などの作物から作られるバイオ燃料が化石燃料の代替手段となり得ます。特に産業用大麻は液体燃料、ガス、固形燃料を生産するための良い原料となります。
ヘンプバイオディーゼル
ヘンプ種子には約30％の油が含まれています。この油は何世紀もの間ランプの燃料として使用され、またいくつかの過程を経て、車両で使用できるバイオディーゼルに変換することも可能です。
ヘンプからは、1年間で1ヘクタールあたり800リットル以上のバイオディーゼルを生産することができ、大豆やひまわり、ピーナッツ、菜種などの他の作物よりも高い収量を誇ります。
しかし、ヘンプバイオディーゼルはなぜ一般的には使用されていないのでしょうか？それは、可用性とコストに関係しています。ヘンプ種子油は様々な活用方法で求められておりますが、ヘンプ種子油の価格は依然高いままです。しかし、産業用大麻の驚異的な可能性にようやく目覚めた国々が増え、より広い範囲で栽培されるようになるにつれて、このバイオ燃料のコストは減少するはずです。
ヘンプエタノールとメタノール
バイオディーゼルの製造とは異なり、エタノールやメタノールの製造にはヘンプの全体が利用可能です。エタノールは植物の糖とデンプンから作られ、ヘンプからエタノールを作るには、いくつかのステップを経る過程が必要です。一方、メタノールは植物の木質/パルプ部分から生産され、ヘンプからメタノールを作るためには気化させるが必要です。この気化させてできた副産物、すなわち炭は、固形燃料として使用できます。
産業用大麻と固形燃料
産業用大麻は固形燃料としても使われます。2011年の研究では、ヘンプの生物質エネルギー収率は、小麦のストローに比べて120％高いと報告されました。また、ヘンプは木炭を作るためにも使用でき、その過程で液体バイオ燃料を生成することも可能です。
ヘンプバイオガス
メタンは自宅で使用する天然ガスの主成分であり、メタノールと化学的に非常に似ています。メタンは、無酸素状態で有機物に作用する無酸素細菌によって生産されます。このガスをキャプチャし、適切な無酸素条件を作り出すために使用される装置をバイオデジェスターと呼びます。
産業用大麻のバイオ燃料はカーボンニュートラル？
多くの人々はバイオ燃料がカーボンニュートラルであると主張しています。これは、使用時に放出される二酸化炭素の量が成長過程で植物が吸収する量と等しいためです。しかし、燃料の製造に関わる全ての要素―栽培から収穫、燃料製造まで―もカーボンニュートラルでなければならないということを忘れてはなりません。
食物作物の燃料としての使用は常に議論の対象となりますが、ヘンプを使う場合、種子をバイオ燃料に使う必要はありません。また、ヘンプは肥料や農薬なしで、少量の水だけで育てることができます。このような理由から、産業用ヘンプのバイオ燃料の利用は今後ますます広がる可能性があります。
最後に、産業用大麻の栽培に関連する法律が改正されることで、安価な産業用大麻のバイオ燃料がより広範囲に利用される未来が見えてきます。
